エリザベート博多座公演の記録

エリザベート博多座公演も無事京本君は千秋楽を迎えましたね。

既に六本木ではサマステも始まっていますが、博多座への遠征は個人的にもとても楽しかったので、博多座での公演についても書き留めておこうと思います。

 

今回810日~814日まで博多に滞在し、京本君が出演した5公演を観劇していましたが、特に記憶に残っている公演は間違いなく京本君の千秋楽であった814日マチネ。そして、811日のソワレ、812日のマチネでした。

この日のここが良い悪いというのをつらつらと書くのはあまり個人的には好きではなくて、その日その日の演技を楽しめなくなってしまいそう、、と感じたり、京本くんの演じたルドルフを拙い書き言葉で表現することが難しいのですが、とても良かった部分は書き留めて少しでも個人的に思い出すときの手がかりになればと思って下記したいと思います。

千秋楽から遡って。

 

814日マチネ

 

1幕の第1声から「あっ、違う」とはっきりと感じました。2幕、やはり闇が広がるでは後述しますが、城田トートと組み合わせると声のバランスではなく、演者同士(城田くんと大我くんの)のお互いがお互いを鼓舞しあいながら盛り上がっていく感覚が強く大我くんもどんどんノッっていきます。

個人的には、最後「皇帝ルドルフは立ち上がる」と手を広げて歌い上げる箇所、コーラスも入りオケもバンバン鳴っているので、声を振り出すのですが、仁王立ちになり全身を震わせて声をだす京本君の姿がとても男らしく、逞しかったです。

 

独立運動のシーンの歌は大我くんの得意とする音域です。

けれど、その前の闇広で全身全霊で歌うので、ここも鬼門ではあるのかなと思っていたのですが、千秋楽公演では前日に引き続き、ぶわ~っと声を広げて歌い上げていて、オペラなど使わずに耳に神経を集中させて聞いていました。

 

千秋楽がとにかく素晴らしかったのはこの後からです。革命が失敗し、エルマーが捉えれたあと、名前を聞かれるシーン。

「ルドルフ」。。。「姓は?」、、、「ハプスブルク!」と名乗るのですが、京本君の「ハプスブルク」には様々なパターンがありましたが、この千秋楽では非常にタメがながく、目をぐっとほそめて、最後に意を決したように力強くハプスブルクと。そこから、「父上っ」っとフランツにかけより声を発するのですが、そのセリフのきり方も今までとは違いました。

そしてひざから崩れ落ち「ちちうえ・・」とつぶやくのですが、ここでは手を口元に当てます。これはその前の導線で手を前に出しているので、そのまま口に持っていく流れなのかなと思います。博多座公演中も、手を当てるときと当てないときがあるので、そこは彼がその日その日のルドルフを演じている所以だと思いますが、このときの「ちちうえ、、」の言い方も前日までよりタメがながく、語尾がかすれるようになってました。

 

そしてママ鏡。今までで一番感情をあらわにしたというか、決して涙は流してはいないけれど歌声に涙を感じさせる声で歌っていました。シシィにすがりつき、左手で花様シシィの手を握り、その手はプルプルと震えています。そして花様は手を払うので、ここで京本ルドルフはその手を見つめ、目を丸くし、絶望の表情を浮かべます。その表情さえも、また違っていてこの千秋楽の公演はひとつひとつの動き、セリフが全て深化していたなと感じていました。

なんといっても最後の「ママも僕を見捨てるんだね」までの動き方、セリフを発するまでのタメ方、最後の「ね」の声の投げ方が新鮮でした。マイヤーリンクが終わり拳銃でこめかみを打ち抜いた瞬間にあ、またルドルフとして生きて死んでいったという実感が沸くのがなんとも物悲しかったです。

 

カーテンコールでは毎回城田君がいるといつもお互い合図をし合って鼻をかむようなしぐさをして微笑みあっているのですが(いったいなんの合図なのか気になる。。)、この日は鼻をスーッと伸ばすような合図をしてました。最後ということもあって、観客席からはひときわ大きな拍手と完成。すこし恥ずかしそうに、けれど満足そうに笑う京本君の姿をみてこちらも幸せな気分でした。今舞台上からみている光景や、感覚を忘れないで欲しいなと思いながら、拍手をおくっていました。

 

812日マチネ

 

この日特記したかったことは、井上芳雄さんのトートとのベストな闇広、そして霧が晴れたような爽快な独立運動の歌です。

昨年のエリザベートでは、大我くんは井上トートの声のバランスや溶け合い方があっているな、と感じていたのですが、今年は城田くんとの舞台上以外での関係だとか一緒に頑張っていこうっというある種の絆のようなものか分かりませんが、とりあえず城田トートの闇広のほうがパンチがあった印象でした。勿論去年よりも声量も上がったし、全て上パートになったので声もよく響くんですけどね。

 

井上さんの素晴らしい歌声や声量に、このマチネではとにかく上手く声が乗って、そして変な力が入ることなく、京本ルドルフの歌声が聞こえました。まさにデュエットとはこれ!という感覚で、この前日の公演がとても良かっただけに、京本くん絶好調をキープしてる!と嬉しくなりました。

そして、独立運動独立運動は本人の歌唱力が上がったこともあって、声は良く出るのですが、どうしてもその前の闇広のインパクトですこしトーンダウンしてしまったり、若干上ずってしまったりという点があったのですが、この日の独立運動がパーンと声が伸びるし音程は正確、なにより一音一音がはまる感覚があって、これ!この独立運動!!と勝手に内心盛り上がってしまいました。

 

811日ソワレ

 

博多座で観劇するのは2回目の日。

博多座はとにかく箱がすばらしく良くて、音響もすこしこじんまりとした大きさも相まって、マチネから観劇がとにかく楽しかったです。

そんななか若干の疲労感も感じながらの観劇でした。ところが、このソワレで「2年間で一番よかったかも!」と思うような大我くんのルドルフが見れたとそのときは思いました。今思えばもっとすごいものがラストに来たので、見る側も京本くんに油断してはいけないなと思いますね。

 

この日はマチネが蘭さん、芳雄さん、ソワレが花さん、城田さん、そして他のキャストも入れ替えパターンなので、京本くんの演じ方の違いがはっきりみえて面白い日でした。特に分かりやすいのは、ママ鏡の部分だと思いますが、2年間見てきた中でたった1度しか見たことない表現をしていなのが印象的です。2年間みたといっても、私が観劇した京本くんのルドルフは全体の半分の公演程度なので、他の公演でもやっているかも知れませんが、そこは目をつぶって下さい、、

 

蘭さんのときは手を見ることはあまりせず、花さんのときは左手をじっと見て、嘘だ、、、という驚きと絶望の入り混じった表情を浮かべます。いつもはそのままさらに絶望や空虚な表情を浮かべるのですが、この公演ではその左手をギュッと握りしめ、おでこにあて、若干悔しいといった表情を浮かべていました。そしてそのあと一層虚無感と喪失感を感じた表情でたちあがり、マイヤーリンクへと進むのですが、私はこのときの一瞬悔しそうに目をぎゅっと瞑る姿が印象的でした。

 

上記した3公演以外の2公演も勿論素晴らしかったですし、なにより安定感がありました。

去年あれだけ毎日不安で、今年も地方公演に出演するとわかって、大丈夫かな?と心配していた自分が嘘のように、そしてまた大我くんに失礼だったなと思うほどですし、博多滞在中、またあの京本ルドルフがみれる!と毎日楽しい気持ちだけで過ごせました^^

 

それと同時に悔しいなと思うこともありました。博多座というステージで、そして共演者の方々と東京を離れ過ごせる期間、京本君自身の調子も上がっていて。博多座の公演も最後まで出られていたら、もっと多くの方々演技を見てもらえた、梅芸も出られたら大阪の方にも見てもらえた、、なんてことが頭によぎります。「個人」として高みを目指すというスタンスを貫く京本君にとって、本人の言葉を借りますが、世界を変えた人生の分岐点となるような作品を優先できたらななんて。

とはいえ気持ちは切り替え、10月には中日劇場公演がありますので、1ヶ月半のブランクを超えた京本君が演じるルドルフを楽しみに、過ごそうと思います。

 

博多座公演、お疲れ様でした。